【幼児教育専攻】山本将之 2022/10/1
造形活動は、材料を揃えるだけで「簡単」に教えることができそうに感じます。
しかし、活動者の「やりたい意欲」を高めることができなければ、「消極的な活動=失敗したなと感じる活動」になりかねません。造形に限りませんが、教員は綿密な保育・授業計画を練る必要があり、子どもの意欲の高め方は非常に「難しい」です。
今回は、子どもの意欲を高めるために意識していることを少しだけお話します。
造形の授業と聞くと、「材料を渡し、『さぁ自由に描いてみましょう!』『作ってみましょう!』と言えば良い」と思っている人は少なくありません。
しかし、それだけでは「何を描いて良いかわからない。何を作ってよいかわからない。」と子どもたちは困惑してしまいます。皆さんもそんな経験はありませんか?
また、「見本を示せば良いんでしょ。」と思う人もいるかもしれませんが、完成した見本を示すだけだと、子どもたちの作品は見本を真似た表現ばかりになってしまいます(真似することが悪いわけではありません)。
子どもの意欲を高めるために大事なことは「過程を示すこと」です。
例えば紙コップとスティックを使う際には、ゆっくりスティックを置き、「何ができたかな?」と問いかけます。すると子どもたちは思い思いの答えを発言します。教員は子どものどんな発言も否定せず、受け入れる態度を示すことで、個々のイメージを全体に共有することができます。例えばスティックでは、簡単な置き方から、発展的な置き方までを「クイズ形式」で示していきます。筆者による9/30の保育実践では、「*」、「線路のような形」・「紙コップと組み合わせた形」の順に子どもに示しました。
大事なことは「子どもの想いを引き出すこと」です。具体的には「質問をベースに過程を示すこと」によって幼児のやる気を引き出します。その際には、「3つのクイズを出すね」など、見通しを持たせる言葉かけも有効になります。
【子どもの表現】⬇
一方で大学生には、上記の手法が通用しない現状もあります。大学1回生はまだまだ目的の無い活動が苦手です。そのため大学生と造形あそびを邂逅(かいこう)させる際には、ゲーム性を取り入れて、積極的に素材に触れられるような工夫を施します。
例えば紙コップの場合、「高く高く、どこまでも高く」というテーマを設定することで、目的をもって活動に入れるように配慮します。このようにアイスブレイク的に手の操作を増やすことで、大学生は徐々に子どもの心を取り戻し、子どもを対象とした導入の手法でも意欲を持って活動できるように変化していきます。
【大学生の表現】⬇
造形活動の意欲の高め方は、年齢によって大きく異なります。
「簡単」そうに見える造形の授業は、実はとても「難しい」のです。
大阪大谷大学では、造形が苦手な学生さんでも、シャイで自己表現が苦手な学生さんでも、活動に参加できる様々な仕掛けを作っています。
初回のオリエンテーションで「造形や図工、美術は好きでしたか?」と全員に問いかけると、ほとんどの人が「苦手」、もしくは「不得意」と回答します。
でも、保育内容(表現)の授業を受けることで、造形を好きになる学生さんも一定数いるように実感しています。
造形が苦手でも、自己表現が苦手でも大丈夫です。
高校生の皆さんも、子どもも大人も楽しめる造形表現をぜひ体験してみませんか?
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