【学校教育専攻】中島 悠介 2022年3月5日(土)
普段は湾岸アラブ諸国(砂漠が広がり、石油が出る地域)の教育制度について研究をしており、新型コロナウイルス禍の前は現地調査もしばしば行っていたのですが、過去の記録を見直していると、最後に調査から日本に帰ってきた日付が2020年3月5日(木)となっていました。言い換えれば、今日まで丸二年間、現地調査をしていない(海外渡航もしていない)ことになります。コロナ禍が本格化して2年ほど経過したということにもなりますが、本当にあっという間な気もします。
それでも研究(のようなもの)はゆったりと進めておりまして、このほど『イスラーム教育改革の国際比較』という図書が刊行され、中島も1章分、アラブ首長国連邦(UAE)について執筆しました。UAEのイスラーム教育と道徳教育の関係性を分析し、近年の教育改革のあり方を考察したものになります。各教科の教科書の内容を比較検討しつつ、現地調査の際にインタビューした内容を取り上げています。もちろん、こうした研究も「教育学」の一つとなります。
このような研究は「教育学」といえども、みなさんがイメージしやすい「学校教育」「教育・教科の実践」「教科についての知識を深める」といったものとは異なるかもしれません。一方、「何を、どのように教えるか」ということの前提には「どのような人を育てたいか」というものがあり、さらには「どのような人間であるべきか」「どのように生きてくのか」ということまで遡ることができます。このように、根本まで遡っていくのが「教育学」であり、もちろん教育・教科の実践とは切り離せるものではなく、それらを「土台」として支えるものでもあります。
ちょっと長くなりましたが、教員養成・教科実践ではない「教育学」について少しだけ紹介しました。コロナ禍に加え、世界全体の情勢が不安定になりつつありますが、気兼ねなく国境を越えて移動できる平和な日々が戻ってくるよう、願うばかりです。
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