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【学校教育専攻】学校教育特論(文化)のこと

【学校教育専攻】荒井洋樹2.24 


本学の学校教育専攻では、ゾーン制という独自の制度があります。言語、文化、科学・技術、協働の四つのゾーンに分かれます。

2022年度からは3回生必修の学校教育特論が開講されることになります。ゾーンに分かれ、それぞれに研究し、成果の報告を行います。

荒井の所属する文化ゾーンではフィールドワークを予定しています。ここでは例えばどんなことができるのか、一例を示してみたいと思います。


◎住吉大社の殿舎配置◎

住吉大社は摂津国の一宮で、起源の古い由緒ある神社です。関西圏の方にはなじみが深いかと思います。その住吉大社の殿舎(建物)の配置について疑問に思ったことはないでしょうか。よく考えてみると、だいぶおかしな配置になっています。次の図は、住吉大社の殿舎配置を簡略に示したものです。


鳥居から第一本宮まで、一直線に並んでいるのにもかかわらず、第四本宮だけずれています。なぜでしょうか。このように疑問を立て、解決を目指すのが学校教育特論です。


というわけで、現地に行ってみました。一番西側の鳥居の前から、反橋の方を見ていますが、奥に次の鳥居と第三本宮が見えているのがわかります。やはり一直線に並んでいるのです。


続いて、二つ目の鳥居の前から。



やはり直線であるといってよいでしょう。


このような現象がどうして起こるかというと、住吉大社自体の歴史に関わっています。現在の住吉大社の祭神は、

  第一本宮:底筒男命

  第二本宮:中筒男命

  第三本宮:表筒男命

  第四本宮:神功皇后

です。これを見てもわかるとおり、第一本宮から第三本宮の祭神は関係が深いのですが、第四本宮は関係が薄いように見えます。

実は第四本宮の神功皇后はあとから合祀した神様なのです。『古事記』や『日本書紀』には住吉の神は三柱と出てきます。のちに神功皇后の三韓征伐があり、神功皇后が住吉で祀られるようになります。

そうした歴史が住吉大社の殿舎の配置にも現れているのです。ちなみに、これは殿舎の建築からも知ることができます。第一本宮から第三本宮までの千木と第四本宮の千木の削ぎ方が異なっています。千木の削ぎ方で男神女神を分別できるわけです。


第一本宮。千木は外削ぎになっている。


第二本宮。やはり千木は外削ぎ。


第三本宮。隣に第四本宮が見えますが、千木の作りが違うのがわかるでしょうか。第三本宮(手前)は外削ぎ、第四本宮(奥側)は内削ぎになっています。


第四本宮。千木は内削ぎで、これまでと違っています。また、左端に第二本宮、第一本宮が見切れており、鳥居からの筋からそれた位置に配置されているのがよくわかります。


ここまでフィールドワークで撮影した写真を軸に展開してきましたが、この内容で実際に取り組むならば、『古事記』や『日本書紀』、あるいはそのほかの文献を利用して、精密に跡づけてもらう予定です。フィールドに出ることでしかわからないこともありますが、文献によってその知見をしっかりと裏付ける作業が必要なのです。

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