【学校教育専攻】中島 悠介 2022年11月19日(土)
FIFAワールドカップ2022が11月20日からカタールで開催されるということで、個人的には「なんで手をつかわないの?」と思う程度にサッカーは苦手ですが、カタールという自身の研究フィールドで実施される点ではとても気になっています。学生時代に留学していたこともあり、マイナー国カタールのことを少しだけ紹介します。
カタールは中東湾岸地域に位置する小国で、国土の面積は秋田県とほぼ同じとされています。カタールの首都はドーハで、「ドーハの悲劇」といったワードは聞いたことがあるかもしれません。人口は約293万人ですが、自国民はそのうち10%に過ぎないという点で、極端に「国際化」した社会を形成しています(わかりづらければ「日本の電車の中で目の前の人全員が外国人」という状況をイメージしてください)。イスラームが国教で、アラビア語が公用語ですが、このような社会環境のため英語で十分生活することができます。国土の大部分を砂漠が占める一方、石油や天然ガスなどの資源が豊富にあり、これらの輸出で獲得した利益により、一人当たりGNIは63,225米ドル(2019年)と世界最高水準を維持しています。
例年、ワールドカップは6~7月あたりに実施されるそうですが、今年は11~12月の実施となっています。というのも、夏場のカタールは気温が50度くらいまで上がるので、とても日中に外で活動できるような環境ではありません。自分が経験した最も高い気温が47度とかでしたが、肌が「痛い」という感覚になります。一方で、湿度は高くないため、日本ほど不快な感じはしません。年に3回ほどですが、雨が降ることもあります。
カタールにはイスラーム教徒が多いため、女性は公共の場所で肌や髪を隠すことが一般的であり、人によっては顔も隠しています。男性もカンドゥーラと呼ばれる、ゆったりとした白い服を着ていますが、通気性もよく意外と快適に過ごせます。上記の通り、オイルマネーにより急速な経済発展を遂げていますが、自国民が少数派であるという状況から、伝統文化の保護にも積極的に取り組んでいます。
カタールには「カタール料理」というものは一般的にはなく、主にアラブ地域やその近辺で広く普及している料理があります。オグダ(イエメンのシチュー)やシャワルマ(トルコでいうケバブ)といったものはよく食べられます。日本のエスニック・レストランでも食べられるビリヤニも、中東ではポピュラーな料理です。
最後に日本との関係について触れておくと、経済的な側面から見れば、原油は日本の輸入量全体の8.3%を占めており第4位、液化天然ガスは輸入量全体の11.9%を占めており第3位となっており、日本へのエネルギー資源の供給に大きな役割を果たしています(2020年)。そのため、多くの日系企業が現地に進出していますが、近年では日本のマンガやアニメ、ゲームといったサブカルチャーも人気があります。カタール大学では毎年、日本の文化をテーマとしたイベントも開催されており、日本人である自分よりもはるかに詳しいカタール人の若者がいたりします。
以上、カタールについて簡単に紹介してきましたが、なかなか目的地として訪問することは(それこそW杯とかでもない限りは)ないかもしれません。ヨーロッパやアフリカに行く際のトランジットなど、短時間の滞在でも楽しんでほしいと思います。
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